Influence of agent’s self-disclosure on human empathy

津村 賢宏 Takahiro Tsumura (SOKENDAI/NII), 山田 誠二 Seiji Yamada (NII)

AI技術の進歩に伴い,人間社会にAIをより多く応用するためには,知的なバーチャルエージェントやロボットなどのAIエージェントの社会的受容がより重要になってきている.人間と擬人化されたエージェントの関係を改善する一つの方法は,人間にエージェントに共感してもらうことである.共感することで,人間はエージェントに対してポジティブで親切な行動をとるようになり,エージェントを受け入れやすくなる.本研究では,擬人化されたエージェントに対する人間の共感を高めるために,エージェントから人間への自己開示に着目する.エージェントからの自己開示が人間の共感を促進する可能性を実験的に検討する.仮説を立て,人間がエージェントに対してより多くの共感を得る条件を実験的に分析・考察する.実験は三者混合計画で行い,因子はエージェントの外見(人間,ロボット),自己開示(高関連自己開示,低関連自己開示,自己開示なし),ビデオ刺激の前後での共感とした.918名の参加者のデータを用いて分散分析(ANOVA)を行った.その結果,外見要因には主効果がなく,使用したシナリオとの関連性が高い自己開示は,統計的に有意な差をもって,より人間的な共感を促進することがわかった.また,自己開示がない場合は,共感が抑制されることがわかった.これらの結果は,我々の仮説を支持するものである.本研究により,自己開示は擬人化エージェントの重要な特徴であり,人間が擬人化エージェントを受け入れるのに役立つことが明らかになった.

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